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文化・教養

新しい日常に、アートの余白を-ワンビルで出会う現代アート-

2025年4月、福岡・天神に誕生した「ONE FUKUOKA BLDG.(通称:ワンビル)」。 

”創造交差点”をコンセプトに、多彩な文化・人・情報が行き交うこの施設では、ビジネスとアート、日常と感性が静かに交差します。 

館内には、国内外のアーティストによる常設アートが随所に点在しています。ジャンルも表現もさまざまながら、いずれも訪れる人の知性や美意識に語りかける作品ばかりです。 

さらに3階には、東京・青山に拠点を構えるアートセンター「Spiral」が九州初進出として展開する複合スペース「Spiral Garden」もあります。ギャラリー・ショップ・カフェがゆるやかにつながり、暮らしの延長線でアートと出会える空間です。 

今回は、そんなアートの中から印象的な3作品と、現在開催中の企画展「Blooming Garden」についてご紹介します。 

ワンビルを彩る29のアート達 

ワンビルには、地下2階から7階まで各階に常設アートが展示されています。 

今回は、その中から印象的な3つをピックアップしてご紹介していきます。 

まるでゲームの世界Leandro Erlich『Pixel Tree』 

ワンビルの象徴として最も目を引くのが、ワンビル開店前から”マイクラの木”として話題になっていた『Pixel Tree』です。 

渡辺通りに面した南西側広場に佇むこの木は、アルゼンチンの現代美術家Leandro Erlich(レアンドロ・エルリッヒ)が現実の自然とバーチャルの融合をテーマに手がけています。 

ピクセル状に積層されたこの「木」は、自然という有機的な存在を人工的な構造で再構成するという挑戦的な作品です。エルリッヒ特有の“錯覚”と“現実”の交錯が、都市に生きる私たちの知覚そのものに静かな問いを投げかけます。 

日常の中に突如現れる非日常。見るたびに解釈が揺らぐアートは、まさに現代を映す鏡といえるでしょう。新たな待ち合わせ場所として、人の流れを結び、美と知性を語るランドマークです。 

壁一面に広がる命のうねり大小島 真木『海の血/Blood of the sea・シラ:白の森』 

オフィス色が強くなる5階のSKY JOBBY、この階の壁面をダイナミックに使い、描かれたのは一頭の鯨。 

一見、美しい鯨ですが、単なる動物画ではありません。鯨という生命体を通じて、海と地球、そして人間の死生観をも内包しています。 

近づくほどに見えてくる「骸骨」は、生命の美しさと儚さを象徴し、鑑賞者に深い感情の余韻を残します。 

本作は、東京を拠点とするアーティストユニット、大小島 真木(おおこじま まき)の『鯨の目』シリーズの一作です。 

命の根源に向き合いながら、絵画という形で“生命の記憶”を現代に写し取る手法は、科学と神話の狭間を旅するような感覚を呼び起こします。 

ポップに表現した都市生活Toyameg『Tenjin Mosaic』 

ホッと一息つける4階の通路脇、鮮やかな色彩とやわらかな表情で、天神でのさまざまな出会いを一枚の絵に表現したのが『Tenjin Mosaic』です。 

ポップで親しみやすい作風ながら、その構図には都市生活の記憶と温度が丁寧に刻まれています。 

色彩色豊かな作品が特徴の福岡在住のイラストレーターToyameg(トーヤメグ)が手がけたこの作品からは、福岡の活気が伝わってきます。 

老若男女、動物、文化など、天神という街に息づく多様な“気配”を一枚に凝縮したこの作品は、ただの壁画ではなく、街の豊かさを視覚化した“都市の肖像”とも言えるでしょう。 

見る人それぞれが、自分の物語を重ねられる一枚です。 

新たな感性を磨く、さまざまなアートと出会う庭 

東京・青山に本拠を構えるアートセンター「Spiral」が、九州に初上陸。その舞台となったのが、ワンビル3階に広がる複合スペース《Spiral Garden》。ギャラリー、ショップ、カフェが穏やかに連なり、訪れる人それぞれの感性で“暮らしの中のアート”と出会える、私的なサロンのような空間です。 

現在開催中の企画展「Blooming Garden」(5/26〜6/22)では、山﨑悠人と川島渚による、植物モチーフの木彫オブジェや、浮遊感ある草花の絵画など、まるで自室に飾れる “小さな庭” を思わせる作品が並びます。 

花々に囲まれるような穏やかなひとときが、心をほどき、感性をそっと呼び覚ましてくれます。 

都会の中で“自分を取り戻す庭”に出会える特別な場所です。 

作品をひとつずつ眺めながらゆったりと歩くことで、慌ただしい日常から少し距離を置き、自分自身の“感性”を磨く時間になります。展示は無料で鑑賞可能。併設のカフェでコーヒーを片手に、アートの余韻とともに過ごすひとときは、忙しない日常に、ささやかな感性の余白をもたらしてくれるでしょう。 

日常を刺激するアートをワンビルで 

福岡・天神の「ワンビル」には、感性と知性に響くアートが点在しています。作品は、単なる装飾ではなく、“都市のなかの感性の動線”として機能しています。 

建築や導線に沿って配置されているため、無理なくアートと出会え、そこに生まれる感覚はまさに「体験型の美術館」と呼ぶにふさわしい構成です。建築と調和した作品が、日常に静かな刺激を与えてくれることでしょう。 

洗練された空間で、美しい時間をゆったりと味わってみては? 

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