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観光スポット

富裕層が満足する湯布院・別府の旅

由布岳の裾野に広がる静謐な盆地、由布院。

日本有数の温泉湧出量を誇りながら、その名を高めた最大の理由は「温泉だけではない豊かさ」にある。美術館、ギャラリー、農園、オーベルジュ―感性と食欲と癒しが高い次元で交わるこの地は、本物の贅沢を知る旅人だけが辿り着く、大分の別天地だ。


金鱗湖と朝霧――由布院が世界に誇る、幻想の朝景

由布院の朝は、金鱗湖から始まる。湖底から冷泉と温泉が同時に湧き出すこの湖は、水面と気温の温度差によって秋から冬の早朝に白い霧を纏う。

その幻想的な光景を目当てに、世界各地から旅人が集まるほどだ。

明治の儒学者・毛利空桑が「魚鱗の金色に輝く」と称えてその名がついた金鱗湖は、周囲わずか400メートルほどの小さな湖でありながら、由布院という場所の本質を象徴する存在だ。

湖畔には老舗の旅館や茶屋が点在し、朝の静寂の中で一杯の抹茶を手に湖面を眺める時間は、いかなる五つ星ホテルのモーニングとも異なる質の豊かさを旅人に届ける。

由布岳の双耳峰が朝日を受けて輝き始める瞬間に居合わせることができたなら、その旅は生涯の記憶として刻まれるだろう。

〒879-5102 大分県由布市湯布院町川上1561−1

アートと建築が薫る街――隈研吾とCOMICO ART MUSEUM

由布院を語るとき、温泉と並んで欠かせないのが「アート」の存在だ。

町のそこかしこにギャラリーや工房が点在し、陶芸・染色・ガラス工芸など九州各地の手仕事に触れることができる。

なかでも近年とりわけ注目を集めているのが、世界的建築家・隈研吾が設計した「COMICO ART MUSEUM YUFUIN」だ。

奈良美智、村上隆、杉本博司ら日本を代表する現代アーティストの作品が、由布院の自然と呼応するように展示されている。

隣接する宿泊施設「COMICO ART HOUSE YUFUIN」は全2棟のみの超プライベートヴィラで、土と竹をテーマにした空間で一夜を過ごす体験は唯一無二だ。

また、観光辻馬車に揺られながら田園風景を眺めるのも、由布院ならではの上質な時間の使い方である。

馬の蹄音と風にそよぐ稲穂の音だけが聞こえる静寂は、デジタルで過飽和した現代の富裕層が本当に求めている「非日常」を体現している。

〒879-5102 大分県由布市湯布院町川上2995−1

食と宿――由布院が育む、大分の美食と離れの哲学

由布院の旅館が競い合うように磨いてきたのが「食」だ。

豊後牛のすき焼きや陶板焼き、A5等級の黒毛和牛、関アジ・関サバ、地元農家が育てた旬野菜―一泊で約40種類の野菜を使う宿もあるほど、食材への誠実さが由布院の宿の矜持となっている。

料理は専用の個室食事処やお部屋でいただくスタイルが多く、他の宿泊客を気にすることなく会話と料理に集中できる。

宿は全室離れ形式が由布院の主流だ。

3,500坪の敷地にわずか13棟を点在させた宿や、全5棟のオールスイートヴィラに専属バトラーが付くスタイルなど、「少数を極端に大切にする」哲学が由布院の宿づくりを貫いている。

源泉掛け流しの露天風呂付き客室で由布岳を正面に望みながら朝湯を楽しむ時間は、何物にも代え難い贅沢だ。

由布院への旅を最高にする心得

由布院は「静けさ」がその最大の財産である。

週末は国内外の観光客で賑わう湯の坪街道も、平日の早朝は驚くほど静謐だ。

可能であれば平日宿泊・早朝散策のプランを選ぶことで、由布院の本質的な魅力に触れることができる。また、豊後牛や関ものの旬食材を活かした料理は季節によって大きく表情を変えるため、同じ宿への再訪も十分に意味がある。

大分空港から由布院まで高速バスで約60分、博多から特急「ゆふいんの森」で約2時間と、九州旅行の起点からのアクセスも良好だ。一度訪れたなら、必ずまた帰りたくなる場所――それが由布院である。

源泉数・総湧出量ともに日本一を誇る別府は、温泉という存在をまるごと体験できる地球上でも稀有な都市だ。

コバルトブルーの沸騰する池、血のように赤い熱泥の地獄、そして温泉の蒸気で蒸し上げる究極のスローフード「地獄蒸し」

この地が届けるのは、単なる湯浴みを超えた、地球のエネルギーとの対話である。


別府八湯と地獄めぐり――日本一の湯量が生む、七色の景観

別府市内には「別府八湯」と呼ばれる8つの温泉地が点在する。

別府・浜脇・観海寺・堀田・明礬・鉄輪・柴石・亀川、それぞれが異なる泉質と風情を持ち、一つの都市の中で多彩な湯文化が共存している。

その核心をなすのが「別府地獄めぐり」だ。約1,300年前、鶴見岳の噴火によって誕生したといわれる自然湧出の源泉群は「地獄」と呼ばれ、海地獄・血の池地獄・龍巻地獄・白池地獄の4つは国指定名勝にも選ばれている。

なかでも海地獄のコバルトブルーは圧倒的だ。摂氏98度という高温の熱湯でありながら、その色は南国の浅瀬を思わせるほど鮮やかで美しい。

「地獄」という名にもかかわらず、そこには天国のような色彩が広がる。

血の池地獄の鮮烈な赤、龍巻地獄の間欠泉が吹き上がる轟音、白池地獄の青白く澄んだ静けさ―それぞれに個性があり、一度では語り尽くせない奥深さがある。

別府地獄めぐり公式サイト(別府地獄組合)
https://www.beppu-jigoku.com/

地獄蒸しと大分の美食――温泉の蒸気が育てる、究極の滋味

別府が誇るもう一つの宝が「地獄蒸し」だ。

約100度の温泉蒸気を利用して食材を蒸し上げるこの調理法は、素材本来の旨みをそのまま凝縮させる。

塩味がほんのり移った野菜、ふっくらと蒸し上がった地鶏、温泉の香りをまとった魚介――化学的な調味料を加える必要がないほど、地熱が素材を完成させてしまう。

別府の鉄輪温泉エリアでは、地元住民が今も日常的に地獄蒸しを使って料理をしており、その暮らしの延長線上に旅人を招いてくれる体験施設もある。

食材に目を向ければ、別府・大分の豊かさは際限がない。

豊後水道の荒波が育てた関アジ・関サバは、身が締まり脂の乗りが格別だ。

大分を代表する郷土料理「だんご汁」は、手打ちの平打ち麺を根菜や味噌仕立ての汁で煮込んだ素朴にして奥深い一椀で、旅の疲れを芯から癒してくれる。

県産の銘柄牛「おおいた和牛」はA4・A5等級が流通しており、鉄板焼きや陶板焼きで味わう上質な脂の甘さは格別だ。

別府の宿と体験――ミシュラン認定から明礬温泉の秘湯まで

別府の宿は多様性に富む。

ミシュランガイド熊本・大分版で「最上級の快適」を受賞した全13室すべてが離れのメゾネット型旅館では、リビングから繋がる内湯と庭の露天風呂に美人湯と呼ばれる源泉が掛け流される。

日本伝統の能楽堂や茅葺の茶室を擁し、庭園に有形文化財の史跡を持つ宿では、鉄板焼きか和懐石を選びながら高台から別府湾を望む夜景に酔いしれることができる。

別府の温泉体験で見逃せないのが「明礬(みょうばん)温泉」だ。

市街地から少し離れた丘陵地にあるこのエリアは、藁とシダを使って建てられた湯の花小屋が立ち並ぶ独特の景観で知られる。

小屋の中で温泉成分が結晶化した「湯の花」は、古くから入浴剤や皮膚疾患の薬として珍重されてきた。強酸性の硫黄泉に浸かれば、皮膚がしっとりと整い、旅の疲れが芯から抜けていく感覚を覚えるだろう。

別府温泉を深く愉しむために

別府は「量」の温泉地だ。日本一の湯量を誇るだけに、一泊二日では到底語り尽くせない奥行きがある。

欲を言えば最低二泊以上を確保し、初日は地獄めぐりと鉄輪温泉の散策、二日目は明礬温泉や観海寺温泉の個性的な湯を巡るなど、テーマを持って温泉を深掘りするのが理想的だ。

由布院と別府は観光快速バス「ゆふりん」で約70分と近く、両者をセットで旅するプランも人気が高い。

「静の由布院」と「動の別府」――対照的な二つの温泉地を組み合わせることで、大分が持つ温泉文化の豊かさを、より立体的に体感することができる。

九州の温泉旅の最高峰を求めるなら、この大分の二大温泉地を訪れることが最善の答えだ。

【参考】

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